第19章 【番外編】マツノトクエスト 第十八章
「ばっっっ……かじゃねぇのぉ? 六つ子とか言われて誰が信じるかってーの! 呪いまでは多少納得しようと思えてもさすがに俺もそれは騙されねぇわ~」
「お、おそ松? 何故そこで力を抜くんだ! まだ話は終わってないし、兄弟なのも事実なんだ、信じがたい事ではあるが……」
「まぁ、そうだよね。俺達は六つ子だーって言われたら普通はダマされてるとしか思わないよねぇ……だって六つ子なんて早々いない訳だし、元の世界でもぼく達は異端扱いだし」
でもそれは驚く事だけど本当の事だ。
それに加えて私も付け足すようにおそ松ににじりよる。
「でも本当の事だよおそ松、それと私はおそ松の幼馴染でお姉ちゃんみたいな……姉弟みたいな間柄なんだよ!」
「………………へぇ?」
「おい、そこで耳をほじるな、鼻くそもほじるな」
ダメだ、もう完全に脳がシャットアウトして受け付けようとしない。
相手はおそ松だからそう簡単に信じてもらえるとは思ってなかったけど。
「んじゃ、さ~とりあえずその兄弟とか幼馴染とかはおいといて呪いってどうやって解いた訳?」
「え」
口と口をくっつける行為です。
そう言いたいけど、言いづらい!物凄く言いづらい!!
困ってトド松と見ると仕方なそうに溜息をつきまた助け舟を出してくれる。
「キスだよ、おそ松兄さん。伝説の乙女であるナス子姉とキスする事で隠されてしまった記憶が戻るんだよ」
キスと聞いて、おそ松の耳をほじる手が止まり目を見開いた。
私は至って真剣におそ松を見ているのだが、おそ松は黙って私の口に視線を向ける。
「………キス?」
「あぁ、そうだ。マウストゥーマウス……まさに呪いを解くのにふさわしい行為だとは思わないか? フフン」
そんなにじっと口を見られてるとこっちもいたたまれず視線を外してカラ松を見ながらブンブンと私は首を縦に振った。
「え、待って待って? お前らコイツとキスしたの? マジで? 相手コイツだよぉ、嘘でしょ~?」
やっと視線を外して心底あり得ないとばかりに手を振る勇者おそ松。
すみませんねぇ、相手が私で。
でも仕方ないのだよ、だって私のキャラ付けがその伝説の乙女になっちゃってるんだから。
ゲーム一緒にプレイした時に女が私だけだったからってのもあったのかもなぁ。