第19章 【番外編】マツノトクエスト 第十八章
「そりゃ、ぼくだって出来る事なら遠慮したかったけど仕方ないでしょ? 呪いって言われたら怖いしタダなら別にキスくらいいいかなって思うじゃん?」
「うっさいわ、このドライモンスターめ! 記憶戻ってからめっちゃ頼りになるなとか感謝してた私の純粋な心を返せコラぁ!!」
「俺はトド松とは理由が違ったけどな、ナス子はパーティの仲間でもあるし一応伝説の乙女でもある訳だから試してみたと言うか」
「一応って言葉も余計っすよね、カラ松」
トド松、カラ松を交互に見て目を据わらせているおそ松。
じゃあキスしようと言う流れには中々なってもらえない。
「いやぁ、確かにタダだし伝説の乙女ではあるけどさ~……寧ろ逆に金もらいたい方じゃね? あ、とか言って俺とキスしたいだけとか? なははは」
「おいいいいいぃ! ムっカつく!!」
「ナス子姉、いっそお金払ってキスしちゃえば?」
「はぁ!? ヤダよ! 記憶は戻したいけどこうまで言われてしようとは思わないねっ!」
この先を進めるにも本当はここで唇を重ねる儀式をした方がいいという事はわかる。
でもほんっきでムカつくこの男。
そう思うとなんで自分はこんなに必死になってるのかと馬鹿馬鹿しくなるし、旅の間だって……まぁ、優しい時もあったけど扱い酷いし未だ私の名前も呼ばないし、認められてない感じがしてムカつくどころか悲しくもなってくる。
「もういい!! 知らないっ! 一生忘れたままでいろクソニートがぁぁっ!!」
「あ、ナス子姉っ」
なんだかその悲しさの所為で泣きそうになってしまい、だからと言って勇者おそ松の前でなんか絶対に涙を流すのも嫌で私はベットから降りると扉へ向かい、部屋の外に出て行った。
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