第2章 【番外編】マツノトクエスト 第一章
━━━━━━━━━━スパァァァァアアアアン!!!
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【 ナス子の攻撃 おそ松 に ハリセンを振り下ろす 】
「っっ━━━━━━痛ってぇええ! 何いきなり! 痛いんだけど?!」
羊皮紙みたいなハリセンでも、ちゃんと攻撃は効き目があるようだ。
痛そうに頭を押さえ屈むおそ松を睨み下ろし、口を開く。
「助けてくれた事には感謝します、ありがとう……でもねぇ、着替えって事は私の服……脱がしたって事だよね? 見た?」
「見ないで着替えさせるとか無理だからっ、風邪引かないように配慮してやったんだしそこも感謝すべき所じゃねぇの?!」
「だっ、だからって……勝手にレディの服を脱がすとはどういう事か!」
「いやぁ、大丈夫だーって! お前みたいな色気なくて化粧もしてない感じの女に欲情する程、俺飢えてないし?」
うん、決定。
これ絶対そうだ、おそ松本人だ。
私にこんな失礼な事言うヤツ、この世界を探しても残り5人くらいしかいないし、多分。
「童貞の癖になに言ってんだか……ぺっ」
「━━━━━━?! はぁ!? ど、童貞じゃねぇし、ていうか何でその事知って……アッ」
自分で否定しておきながら自分でバラすとはなんと愚かな。
松野おそ松、やはりゲーム世界に来て勇者になれたと言えど残念なのは変わらないらしい。
「で、勇者様は何でここに? しかも釣りとか、普通は魔王退治とかに向かうんじゃないんですかぁ?」
急に私の態度が偉そうになって、少し面白くなさそうに顔を膨らませる勇者。
だが、ベットに座って腕を組んでいる私を立ったまま見下ろして言い訳を述べる。
「つ、釣りはあれだよ! 旅立ち前の調達ってやつだからっ、別に面倒でずっと村にいた訳じゃないし、そろそろ旅立とっかな~って思ってた時に、た・ま・た・ま・お前が空から降ってきただけだしっ」
「へぇ? 面倒臭くて村に残ってたのね。なるほどなるほど、さすがは勇者おそ松さんだことぉ~」
ハンっと嘲笑気味で言ってやると、今度はムっとした顔になって私を指さして文句を言う。
「お前最初と態度全然違くない?! 俺勇者様だぜ? もっと敬えよっ、俺はこの世界でありがた━━━━━い存在なんだからな!」
「ふ~ん、それじゃあ早く旅にでも出たらどうですかぁ?」