第2章 【番外編】マツノトクエスト 第一章
悪いけど勇者だから敬えと言われても、相手はあのおそ松。
RPGの勇者御一行に憧れている私だとしてもトキめきもしないし正直悔しい気持ちしかない。
私だって魔法をぶっ放す勇者になりたかった、それなのに初期装備がハリセン……なのにおそ松は背中に剣まで背負っている。
「色気もなけりゃ可愛くもねぇなお前ぇ、やっぱタイプじゃないわぁ! 残念」
「こっちでもあっちでもお前はそればっか言うなコラ! ハリセンでまた殴るぞっ」
「やめて! さっきの攻撃でHP5くらい減ってるからっ」
なるほど、一発そのくらいの効果はあるのか。
このハリセンでも私がレベルUPしたらもっと攻撃力あがるのかなぁ。
「って事でぇ、行くぞ。 ほら!!」
ハリセンを見て模索していると、急に手首を掴まれて立たされる。
「は?」
「お前は俺が拾ったんだから俺のアイテムみたいなモンなの! マジで村の連中もニート勇者って煩かったし行かなきゃなぁとは思ってたんだよねぇ」
「ちょ、ちょっと待ってよ、人の事アイテム扱いしないでくれない?! それに私一緒に行くとは言ってないんだけど」
「俺のモノは俺のモノ! お前のモノも俺のモノ~、ひひひっ」
「なんなのそのジャイアリズムはっ」
相手が勇者なら一緒の旅はしたいし、本当の本当にこれがおそ松なら離れたくはないのも事実。
何が気に入らないって人を物扱いするコイツが気に入らない。
「んだよ、硬い事言うなってぇ。 もう裸もみたんだし、知らない仲でもないだろ? なぁ?」
━━━━━━━━━━スパアアアアン!!!
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【 ナス子の攻撃 おそ松 に ハリセンをぶちかます 】
「痛って━━━━━━━!! HP合計で10減った!!」
「知らんがな! その辺の雑草でも食べて回復すればいいでしょ?!」
「いや、回復薬ならこの辺に………」
ハリセンを構えている私を余所に、おそ松は部屋の中を漁る。
床に置かれたツボを拾い壁に投げつけるとそれが割れて中から薬草が出てきた。
【 勇者おそ松 は 薬草 を 手に入れた 】