第16章 【番外編】マツノトクエスト 第十五章
正直、今のカラ松のほうが強そうに見えるのは気のせいじゃないと思う……。
「………んー……? あー……ナス子か……おはよう、早いな……」
いつもなら「グッモーニンナス子……っ今日も俺を照らすサンシャインが眩しいぜぇ……」とか言うんだろうが、寝起きの為か普通だ。
やっと全員起きだして、各々顔を洗ったり身支度をし始める。
そこにトド松もやってきて、全員が集合する。
「あ、皆起きたんだね、ねぇねぇ、朝食食べにいかない? 焼きたてのパンが絶品なんだってっ」
確かに、さっきからほのかに香ばしい匂いがしてきて、空いたお腹を刺激されている気がする。
併設されている食堂に皆で移動して、この宿の自慢らしい朝食を全員で頂く。
「ん~っ、おいしーいっ! 焼きたてのパンってこんなに美味しいんだぁ……あ、ナス子姉、ジャムもあるよ、使う?」
「うん、ありがとトド松」
「おいおいトド松ぅ~、その姉ってのまだ継続してんの? なに、お前もしかして本気で弟願望があるとか? にしても姉がコイツじゃなんの得もなくね? もっとぼんきゅぼんなお姉様なら俺も弟になりてぇけど~」
「おそ松兄……おそ松がいちいち気にしなければいいだけでしょ? うっさいなぁもう」
美味しいパンとジャムを頬張りながら、チラリとトド松と視線を合わせる。
結局、カラ松の記憶から戻そうということにはなったけど、どうしたもんか。
最終的には不意をつくとか力づくで無理やりってこともありにはありだけど、本音を言えばやっぱり事情を理解して納得してもらったうえでしたいよねぇ。
なんで呪いを解くのがキスなんだろう。めんどくさいなぁ。