第16章 【番外編】マツノトクエスト 第十五章
次の日。
とっととこの町を出て次の目的地に向かうのかと思いきや……。
「ちょっとおそ松!」
「あー?」
おそ松、カラ松、チョロ松が宿泊している部屋のドアを勢いよく開けて、部屋の中に飛び込む。
三人はまだ寝ていたようで、名前を呼ばれて起きたおそ松以外の二人はそれぞれのベッドでまだ気持ち良さそうに寝息を立てていた。
「あー、じゃないっ! 今受け付けのお姉さんに聞いたんだけど、今日もここに宿泊することになってるって」
「んあー、そう、そうだよー、それがなんだよ……今何時ぃ?」
「一泊1500Gもすんのに何故にっ、二部屋だから倍額だしっ」
「だぁってぇ~、俺あのお姉さんともっと仲良くなりたいんだもぉ~ん」
「勇者が宿泊施設のお姉さんに誘惑されてどうするっ!」
正確には、お姉さんが誘惑をしたわけではなくおそ松達が勝手にお姉さんたちにメロメロになっているだけなんだろうけど。
メロメロって死語かな?
それとも死語って言葉自体死語?
いやいやそんなことはどうでもいい。
「じゃあアンタ外でモンスターでもなんで狩って稼いでこいって話なんですけどっ?!」
「うるっさいなぁ、金がないわけじゃないんだし、別にいいだろぉ?」
確かに、ダンジョンとかも行ったし、ゴールドもないわけじゃないのは私もわかってる。
でもさ、RPGでよくあるじゃん。
いや、リアルでも、急に大金が必要になることってあるでしょ?
貯めておくにこしたことはないということなのだよ。
クソゲーなんかだと情報もらうだけで目ん玉飛び出るような金額請求されたりするし。
ん~でも、トド松も言ってたけどこの宿にいる間に3人の記憶を戻す目的を考えるならちょうどいいっちゃいいのかなぁ。
「はー……起こされちゃったよ。仕方ねぇ、起きますかぁ~、オイ、お前らも起きろ」
おそ松がカラ松とチョロ松を起こすと、チョロ松はわりと寝起きがいいほうですぐに目を覚ますのだが、カラ松は寝起きの目つきの悪さがハンパない。
「おはよう、カラ松、チョロ松」
「んん、おはよう……なに、朝っぱらからケンカとかやめてよね……」
さっさとベッドから起き上がって伸びをするチョロ松とは対照的に、まだ眠たそうな目をこすってぼーっとしているカラ松。