第15章 【番外編】マツノトクエスト 第十四章
失敬な!!とハタキ倒したくなるも、トド松の意見は至極真っ当。
誘惑なんて生まれてこの方した事もなければ相手が相手。
というか、出来る事なら誘惑とかなく事故でも起こしたり、寝ている間にチュっと適当に唇を奪えるものなら奪ってしまった方が楽だろうと考える。
「えーっと…ご、ご宿泊ですか? 先にセーブなさいますかぁ?」
笑顔なのだが、3人の群がる男性にたじろぐ宿の女性。
汗を垂らして困りながら接客を頑張る彼女は接客の鏡だなぁと思う。
「んー、出来るなら全員同じ部屋の方が手っ取り早さそうなんだけど……。どうする、ナス子姉」
「やっ、全員同じ部屋とか無理でしょぉ! つか狭いし!!」
「だよねぇ、ぼくもむさ苦しい連中に囲まれて寝るのは嫌だし、ぼく達二人の部屋と兄さん達3人の部屋で別れちゃう?」
「うんうん、その方が作戦も考えられるからいいかも~」
相手はトド松、夜中にトイレは起こされるが全く意識などないので気にしない。
ま、六つ子相手ならそんなモンなんだけどね。
「じゃあ、二部屋で少し安めにして欲しいんですけど出来ますか?」
「えぇ、では一部屋1500Gからお貸ししますので二部屋で3000Gでいかがでしょうか?」
「えへへ、ありがとうお姉さん! 優しくってとっても頼りになるねっ」
トッティー!特に交渉術とか使わずただ喋っただけだけどお姉さんに誘惑されてるアイツらと違って今日のトド松はほんっと頼もしい!
先にセーブを済ませ、部屋に移動する面々。
男3人と男女の部屋に別れる事でちょっと拗ねるおそ松を無視して別々の部屋に入って行く。
私の事女扱いしてないんだからそこは拗ねなくても、と思うのだがどちらかと言うと男だけの3人部屋に拗ねているようだ。
「はぁ、熱ーっ! ヅラって結構蒸れるんだよねぇ」
部屋に到着するなり、装備を外すトド松。
化粧も綺麗に落としてやっとよく知っているトド松の顔を見れた気がする。
「だからってブリーフ一枚になるのやめてよねぇ、ほらコレ始まりの村の最初の装備だけどコレでも着てて」
一番最初におそ松に買ってもらった装備と、簡素な短パンをトド松に差し出す。