第13章 【番外編】マツノトクエスト 第十二章
本のページをめくり、目ぼしい呪文を見つけたようで軽く短い詠唱を唱えて杖を枝に向けると杖からマッチ棒くらいの火が灯る。
「火、小っさ!! 消えちゃう、消えちゃうから! 皆息ふきかけてっ」
チョロ松の火に持っていたペーパーを出しそれに火をつけて枝の中に入れる。
それに向かって必死に全員で息をふきかけると、ボウッと言う音とともにやっと火らしい火が点いた。
「「「「「よっしゃー!!」」」」」
「なんだよぉ、石なんて何の役にも立たないじゃ~ん!」
「フッ、しかしこの世にあるものは全てに意味がある……例えそれが石だとしても、いつかは俺達の身を助けることになるかもしれないぞ」
そんなカラ松の言葉など無視しておそ松は石を適当にどこかへ投げてしまった。
魚が焼けて、それぞれが一匹ずつそれに食らいつく。
調味料と言えばおそ松が持ってた塩くらいなものだけど、それでも美味しい。
「んまー!!」
「美味しいねっ、川魚って焼くとこんな味がするんだぁ」
「俺は肉の方がどちらかと言えば好きだが、魚も中々イケるな……」
「くはーっ、カラ松の酒も美味ーい!!」
「あぁ! いつの間に俺のアイテムを……っ」
魚を食べていた私達だったが、いつの間にやらカラ松のアイテムに手をつけ、酒を煽り始めるおそ松。
それに乗っかってトド松、チョロ松も飲みだし、カラ松も結局酒に手を出す。
どこに行っても酒好きは酒好きだと感心まで覚えてしまう始末。
「ナス子は飲まないの?」
トド松は私がお酒が弱い事を知ってるけど、他の皆は知らなかったんだった。
遠慮がちに両手を胸の前に出してそれを断る私。
「いやぁ、私あんまりお酒飲めないんだよね。皆で楽しく飲んでよ!」
「いいじゃん、あんまりって事はちょっとは飲めるんだろぉ? お前も今日は頑張ってたんだし飲めよ、ほらぁ」
「えー?」