第13章 【番外編】マツノトクエスト 第十二章
おそ松に小さめの瓶を渡されて、それを見る。
ゲームの世界でなのかアルコールの度数などは書いてはおらず、思い返せばここはゲームの世界だし、身体ごとここにきている訳ではない。
トド松に騙された時もお酒を飲んでしまったがほろ酔いな感じで完全に酔いはしなかったと考えると、もしかしたらこの夢のような世界ではのめてしまうのではないかと言う思考が持ち上がってくる。
「じゃ、じゃあ……ちょっと、だけ?」
一口、二口と瓶に口を付けて飲んでみるがあまり美味しくない。
ていうかこれアルコール強いんじゃないの?!
「うぶっ……顔がカーってなる! カーって!」
ダメだ、現実よりはマシかもしれないけど何か火照る感じはして一気に顔と喉が熱くなってしまう。
こんな所まで体感ゲームにしなくたっていいのに……ちぇ。
「だははははは、こんなんでギブアップー? 早くね?!」
「そうだよぉ、もっと飲もうよぉ」
「まぁ、酒はまだいくらでもあるからな……好きなものを選んでくれ」
「ちょっと皆、あんまり無理に進めない方がいいんじゃ……」
他の3人は乗り気で勧め、チョロ松だけは止めてくれる。
まだ完全に飲んでないチョロ松はオラつくには早いようだ。
「いや、もういいッス!! 顔も体も熱いし、水……水~っ」
さっきの泉でトド松が汲んでくれておいた水を革袋から取り出してそれを一気にゴクゴクと飲み干す。
━━━━━━━━━━ブハッッッ
「おいいいいいぃ、これ中身酒じゃん! 誰だ中身変えたヤツ!」
「ハーイ、おっそまっつでぇ~す!!」
「ファックユー!! 何で水を酒にしちゃうのぉ?!」
「えー、さっき全部飲んじゃったからカラ松の酒でも入れておこうと思ってぇ」
何でいつもこんな流れになるのか、こっちの世界でも油断ならない六つ子だ。
「あ~……だめ、横になる」
残りの4人が上機嫌で酒を飲み騒ぎ出す中、私はゴロンとその場に横になる。
騒がしいから寝れないけど、この騒がしい感じは嫌いじゃない。
騒がしくて寝れない……なーんて言ってた私だけど、どこか安心してしまうこの馬鹿騒ぎに懐かしさを感じながら、結局眠りについてしまったのだった。