第12章 【番外編】マツノトクエスト 第十一章
・
・
・
一方泉の上では。
「なんなんだよお前! もしかしてお前も魔王の配下な訳?!」
「魔王じゃないから、トト子様の下僕だからねっ、そこ勘違いしてもらっちゃ困るんだけど」
魔王の配下を全否定するチョロ松はトト子の下僕と言う方がいいらしい。
現実世界でも一番のアイドルオタクでトト子が大好きなチョロ松だ。
そこに拘ってもおかしくはない。
「トド松、カラ松! お前らコイツの事知らないの?」
「んー、何人か下僕がいるのは知ってるけどこの人は知らないかな。でもトト子様のファンクラブにいたような?」
「俺も顔に覚えがないな、ファンクラブがあるのは知っているし俺もそれに入っていたが……」
おそ松に聞かれた二人はうーんと考えて首を捻る。
しかしチョロ松の姿は初めて見たようで、相手の技や手口がわからず3人共身構えていた。
「ふふふ、なんたって僕はトト子様のマネージャー兼ファンクラブ第一人者の存在、君達が知らないのも無理ないね? 僕は常に後ろに隠れてトト子様をフォローしてた訳だし」
「マネージャー? 何それ? どんな職業なの?!」
「えぇと、要するに身の回りの世話してるようなモンって事」
「ハハーン、なるほど……手頃な下僕という事か」
トト子の配下が現れたと言うのに全く緊迫した様子のないおそ松、カラ松、トド松。
「それより早くアイツ助けないとこのままじゃ溺れるんじゃ……」
「あぁ、それは大丈夫。 僕の魔法でちゃんと空気の膜で包んでおいたから━━━━でも、返さないよ? あの子はトト子様の土産として持ち帰るから」
ニヤリと悪い笑みを浮かべて杖を構えるチョロ松が何やら詠唱を始める。
普通の物語と言えば、こういう時は変身シーンや何かを唱える際、待っててくれるのがセオリーなのだが、この3人はそんな事はおかまいなしと連続で攻撃技を繰り出した。
【おそ松の攻撃 おそ松 は ツボを投げつける 】
「ふっ、悪いけど防御魔法してるから当たらないよ」
【miss】
「あっ、くっそー! 今日ツボ投げの調子悪いなっ」
【カラマツの攻撃 酒をちゃんぽんし 体当たり をかます】
「だからっ、防御してるから当たらないって言ってるだろうが!」
【miss】
「くっ……ダメだ、避けられてしまう」