第2章 アボカド
こんぶ飴が歯にくっついちゃって、なんだかもごもごしてる口。
リハだから手抜きしまくって、全然やる気のない丸まった背中。
時間がぽっかり空いちゃって、ボケッとしてるときのだらしなく開いた口。
なんかもう…なんでそんなの見つめてるのか、俺自身にだってよくわからない。
わからないけど、なんか目で追っちゃうんだよ…
「ああ…三島由紀夫に相談したい…」
「あ?」
「…なんでもない…」
夕飯はリハの合間で、控室で食ってたらいつのまにかつぶやいちゃってた。
「おまえ、三島なんか読むの?」
「わりーかよ…有名なのは読んだよ」
翔くんが弁当を食いながらまじまじと俺の顔を見た。
「なに?三島に相談したいことってなんだよ?」
「えー…なんでもねえよ…」
三島由紀夫は、あっちもいける筋のひとで。
簡単に言えば、両方いけた人で…
実際作品にもそういうのを題材にしたものもある。
つい最近、読んでたもんだから…
「まさか男に恋しちゃったとか?」
「ごふっ…」
「お、おい…」
思わぬ言葉に、盛大にむせた。
「ぐ、ぐるじい…」
「水飲め、水…」
翔くんがペットボトルの水を差し出してくれて、なんとか飲んだ。
「…なんだよ…図星?」
「ち、ちが…」