第7章 ショコラ scene5
でも、どこで見たのか思い出せない。
カランカランと拝殿から鈴の音が聞こえた。
振り返ると、髪を腰まで垂らして一括りにした着物を着た女性が、手を合わせているところだった。
ああ…
これは、記憶?
俺の中にいる、本物さんの記憶…?
着物の女性は、こちらを振り返るとにっこりと微笑んだ。
「さあ…帰りましょう…」
「はあい!かあさま」
小さな手をかあさまに向かって差し出すと、微笑んで腕を広げてくれた。
駆け寄って飛び込むと、かあさまはふんわりと抱きしめてくれた。
「何をおねがいしてたの?」
「ふふ…あなたが大きくなって…」
「おおきくなって?」
「しあわせなお嫁さんになれますように…」
「なる!およめさまになる!」
「ふふ…じゃあ、お守りを買いましょう…」
たいせつに…たいせつにするのですよ…
はあい…
かあさま
「…ちゃんっ…翔ちゃんっ…」
頬に痛みを感じた。
「起きてっ…翔ちゃんっ…」
「いたい…雅紀…」
「ああっ…翔ちゃんっ…」
がばっと雅紀が抱きついてきた。
「良かったぁっ…」
「あれ…俺…」
随分、時間が経ったように思ったけど、まだ俺は脱衣所にいた。