第7章 ショコラ scene5
「やばっ…本降りになる前に帰ろ?」
「おお…」
走っちゃだめって言われたから、ふたりで早歩きで家に向かった。
「まさきぃ…走ろーぜ?」
「だめっ…なんかあったらどうするの!?」
「いや…ないって…」
大体、これは霊魂であってだなあ。
「いーじゃん…気分っ」
「ああ…ハイ…」
なんで俺なんだよ…
奥さん役だったら、雅紀のほうが…
「翔ちゃん…」
家が近くなったとこで、雅紀が俺の手を握った。
「ちょっとだけ走ろっか」
雨が本降りになりそうなくらい降ってきたから、雅紀が俺の手を引いて走り出した。
雨が降ってるからか誰もいない道を、ふたりで手を繋いで走った。
「ま、待ってぇ…雅紀、早いってっ」
「翔ちゃんだって、濡れちゃうもんっ」
「だぁいじょうぶだって!厚着してんだからっ!」
走ってエントランスに駆け込んだら、慌てて雅紀が俺に頭から上着を掛けてきた。
「冷える前に、お風呂入っちゃお?」
「もおっ!そんな過保護にすんなよっ」
「早く早くっ」
オートロックの鍵を慌てて開けて、雅紀は先を突っ走っていく。
「…とんだとうちゃんだな…」
腹に向かって話しかけたら、ぐるんっと中身が動いた。