第7章 ショコラ scene5
「ねえ…翔ちゃん、念の為掛けてもらっていい?」
「おう、わかった」
買ってもらった新しいスマホで雅紀に電話しても、なにも起こらなかった。
「やっぱ、護符のおかげだな…」
「うん…」
「とりあえず、行長先生が戻ってらっしゃるまでは、このままだな…」
「そだね…」
ぐずっと鼻をすする。
どうやら泣いてるらしい。
「…雅紀、怖かったら自分ちに帰ってる?」
「え?」
雅紀のマンションは、まだ解約せずにそのままになってる。
両家に挨拶済みとはいえ、やっぱり正式に一緒に暮らすのは、なにかと障害が多くて。
アイドルだし…男同士だし…ね。
時間を掛けていこうってことで、現状維持が続いてる。
「いや…もしかしたら、俺になんか憑いてるのと関係あるのかもしれないし…」
「いやだよっ…」
「でも、怖いだろ?」
「こわいけどっ…でも、翔ちゃんと一緒なら怖くないもんっ」
「いや、どっちだよ…それ…」
雅紀はスマホをテーブルに置くと、まじまじと俺を見た。
やっぱり泣いてる…
そっと手で頬を包むと、少しの間、目を閉じた。
「…無理するな…」
「してない」
「でも泣いてる」
「もともと弱虫だもん」
「威張るな」