第7章 ショコラ scene5
『それで…櫻井さん…』
「あ、はい」
『ちょっと…私にもよく視えないんです』
「…と、おっしゃいますと…?」
『でも、居ますね…』
思わず額に手を当てた。
「待ってください…まさか俺になんか憑いてるってことですか?」
『そのとおりです』
がくーっと…がくーっと力が抜けた。
「なんで…なんで俺がっ…」
『さあ…そこはですねえ…視えないので如何とも…』
「せんせぇ…」
『しかしね、すぐに悪さはできなさそうです』
「え?」
『とてもとても小さいんです』
「な…なにがでしょう」
『本体ですね』
「本体…」
『わかりやすくいうと、霊魂の源が小さいんです』
「……余計にわかりません」
『そうですなあ…』
先生は弱りきった声を出して黙り込んだ。
「あ、あの…その、松本のときのように悪いものではないんですよね…」
『はい。私にはそのように見て取れました。恐らくすぐに影響がでることはないでしょう。しかしですね、何分ちいさい。だので、護符を身につけておられるといいのですが…』
「あ…あの…松本のやつ…?」
『はい。あるでしょう?』
どこまでも…先生にはお見通しってことだ…
「わかりました…では、コンサートが終わったらすぐに先生に視ていただきたいんですが…」