第7章 ショコラ scene5
祝詞の中に「ば~ば~あ~ら~し~」とか「さい~じゃくお~ぅだっしゅつ~」とか聞こえてきて、笑うのを必死にこらえた。
でも隣に座っている雅紀は、すごく真剣で…
笑っちゃいけないのに、笑えてしょうがなかった…
一体正月から、なんの修行させられてるんだろ、俺…
かなりしんどかった…
「あー!これで俺、すっきりと大阪のコンサート行ける!」
「おお…良かったな…」
初穂料を払おうとしたけど、いいんですって受け取ってもらえなくて…なのに、ちゃっかり授与品までいただいちゃって…
せめてっつって、お守りとか大量に買った。
11日から大阪だから、スタッフさんとかに配ればいいし。
お守りやら御札の入った袋を両手に持って歩いていると、境内を横切るように女の子が走っているのが見えた。
「あ、翔ちゃん。俺、ちょっとトイレ…」
「おう。待ってるから行ってこいよ」
「うん!あ、これ持ってて」
雅紀からもお守りの入った袋を受け取って、俺、お守り業者みたいになった。
「たは…どんだけお守り好きに見えるんだ…」
ふと気づいたら、さっき走っていた女の子が俺の眼の前に立っていた。
「わ…ビビった…」
女の子は七五三の時みたいな着物を着て、髪はおかっぱにしてる。
ぱつんと揃えた前髪の奥から、きらきらした目で俺を見てる。