第3章 アリストテレス
「どぁっ…なんで入ってきてんだよ!」
「え。だって、見てみたいんだもん」
「ああ?客だろ?おとなしくしてろよ」
「えーやだ」
「あ、てめ」
とか言ってるのに、潤は嬉々としてキッチンを見渡してる。
「あ、ねえ、ちゃんと掃除してる?」
「料理しねえもん。掃除しなくてもいいだろうが…」
「だめだよ…シンク真っ白じゃん」
そう言いながら、勝手に水を出すと掃除用においてたスポンジで擦り始めた。
「ほらあ。ちょっと擦ったらピカピカじゃん」
「うるせーな」
冷蔵庫から、冷たい飲み物…と言っても、買い置きの缶ジュースしかなかったから、それを出してきた。
一応、お客様だからグラスに移し替えると、リビングに持っていった。
「おい、潤。掃除なんていいから、これ飲めよ」
「んー。もうちょっとだから」
カウンターの向こうに見える顔は、嬉しそうで。
なにしてんだこいつは。
「料理しないの?翔くん」
「おまえ。俺がミスター不器用なの知ってるだろ…」
「ぶっ…」
「笑うな」
「…だって…」
「笑ってんじゃねえよ」
「…ぶぶぶぶ…」
キュッと水栓を閉める音が聞こえたと思ったら、今度はタオルを要求する声。