第3章 アリストテレス
「だって…手、繋いだり…一緒に笑ったり…久しぶりだったし…なんかここ何年も、翔くん俺のこと避けてるでしょ…?」
「へ?」
「だから、なんか俺、したのかと思って…」
「別にしてねえよ…」
とかいいながら、俺は20年前のあの日のことを思い出していた。
あの甘い…
俺が少し触れただけで聞こえた、あの声
潤の部屋の匂いと、花束の匂い
ベッドから漂う潤の体臭
白い…潤の細い身体
「ぅ…うわぁっ…」
「わっ…なんだよっ」
突然立ち止まって大きな声を出してしまった。
ぼふっと潤が俺の背中に、ぶつかってしまった。
「な、な、なんでもねえよっ…」
「びっくりするじゃん!」
なんか…思い出すと、俺、変になる
胸が…おかしな感じになる
だから、変な声が出てしまう。
「ごめん」
「…翔くん…?」
未だに、20年前のあの日のことを鮮明に思い出す俺は、絶対変態だ。
だって、潤は男だし、俺も男だ。
なのに、あの日のことを思い出すと…
下半身がおかしなことになる。
絶対異常だ。
だから、危険…危険…
これ以上、潤に深入りしてはいけない
同じグループになって、潤がいっちょ前に仕事ができる男に成長した頃から、徐々に俺は距離を取り始めた。