第24章 幸村の誕生日
擽ったいほど、喜ばれて華月は気恥ずかしかったけれど、
「本当は出陣して欲しくないから、
陣羽織は贈りたくなかったんだけど…」
華月の素直な複雑な気持ち。
「…でも…」
そうは言えないコトも分かっている。
だから
「無事に帰って来れるよう、祈りながら刺繍したの」
言われて見てみれば、両裾 辺りに
「陰結び雁金の紋」
幸村が撫でながら呟いた。
雁は良い知らせを運ぶ縁起の良い渡り鳥、
と考えられ作られた紋様だ。
渡り鳥は必ず毎年帰ってくる。
何があっても帰って来て欲しい。
そう願う。