第2章 手と手を繋いで
「うぅーーん…」
莉菜さんが布団を蹴りながら寝返りをうち、こちらを向いた。
「…っ!」
見えた。
やっぱり可愛いな……
少し開いた口元が、いつもより幼くて何とも無防備で。
「すぅ……すぅ……」
「………」
しばらく逆さの状態から莉菜さんの寝顔を堪能する。
………満足だ。
十二分にパワーを貰えた。
少し寝相が悪めなところがキュンと来る。
でもあんなに布団を蹴ってしまったら…
この時期、明け方は まだ少し冷えるのに。
風邪を引くといけないから、布団をかけてから帰ろう………
俺は完璧に気配を消すと、ヒラリと部屋に降り立った。
(パサ…)
穏やかに眠る莉菜さんを極力刺激しないよう、静かに掛け布団をかける。
結局 布団の側にまで来てしまったけど、
もう本当に帰るよ。
(ありがとう、莉菜さん)
心の中で御礼を述べてから踵を返す。
先ほど開いた天井板の下まで戻り、飛び上がろうと足に力を入れた時、
「佐助くん」