第3章 どっちもどっち、どっちもすき
「ん、は…潤、じゅ、でるっ…からぁ、」
「ん、ふ、」
綺麗な顔。
真っ赤な唇でおれのこと咥えてくれて。
長い睫毛に引っ掛かった前髪をかきあげる。
ふん、って小さく息を吐いてこっちを見た。
その挑戦的な目が、もうあれだよね。
「だめだってっ、あっ、ああっ」
「んんっ、ん」
「んああ、ごめん」
潤は口をモゴモゴさせて首に抱きついた。
同時に唇を押し付ける。
「んぇ」
むわっと青臭い匂い。
おれに無理やり飲ませると、口元をべろんべろんに舐めて。
やっと離してくれたらと思ったら、今度はバードキスを繰り返す。
「ん、じゅ」
「かわいい。智」
幸せそうに見えるでしょ。
幸せだよ。
でもほんとはこわいんだ。
おれも潤もこわいだけなの。