海賊の医者は美しい瞳の少女に魅了される【ワンピース】
第3章 新しい旅
マリィside
私達は、みんなと挨拶を交わした後、船を降りるためにみんなに背を向けた。もちろん、別れを惜しんでいたけど、ローの船からいなくなった時と同じで、離れ難くて涙が出てきてしまう前に、みんなの前から去りたかった。最後くらい、笑顔でお別れしたかった。
船を降りた後、振り返って手を振った。精一杯の笑顔で。感謝を込めて叫んだ。
「ありがとう!!また会おうねー!」
「おう!」
「ばいばーい!」
「またね!」
返事が返ってくると、私は再びみんなに背を向けて、少し先で待っているローのもとへ歩き出した。しかし
「マリィ!」
ナミの声に振り返った。
「楽しかったわ!ありがとう!」
「私もだよ!本当にありがとう!」
「マリィ、トラ男くんとお幸せにね」
「もー!ロビンったら…」
「あ、あと次に会った時、他人行儀とかやめなさいよ!」
「わかってるって!」
軽口を叩いて、笑い合う。
「マリィ!」
「ん?なに?」
笑顔で返す。
「私達、もう友達だからね?忘れたら怒るわよ!」
友達…
そう、呼べる存在ができたこと。それがすごく嬉しかった。
「忘れるわけないでしょ!」
忘れるわけない。忘れられるわけない。だって…
「私にとっても、ナミとロビンは大切な友達なんだから!!」
最後くらい…笑顔でお別れしたかった。サンジの前で泣いて、ナミの肩を借りて泣いて。泣いてばかりで、迷惑ばかりかけたから、最後くらい、笑顔で感謝を伝えて、笑顔でお別れしたかったのに…なんでだろ…泣きたくって仕方ない。
目から涙がこぼれ落ちる前に私はくるっと向きを変えて、スタスタと歩き出した。その途端、一筋、涙が頬を伝った。
「マリィ」
ローは、私の隣に来て、何も言わずに静かに手を取ってくれた。
「ありがとう…ロー」
ナミ達といられなくても、私の側にはローがいる。…大好きなローが。だから、私も強くならなきゃ。守ってもらってばかりじゃだめだ。ローの側にいられるように。ローの背に隠れて守ってもらうんじゃなくて、隣に並んで戦えるように強くならないと。どんな時でも涙を堪えられるように強くならないと。
これから、家族を助けるのはどんなに大変か、想像もつかないけど。ローが隣にいてくれたら、何だって頑張れる。そんな気がした。
「大好きだよ、ロー」
「ああ、俺もだ」
私はローの手をそっと握り返した。
