第5章 情報収拾

ローside

ふと頬の痣が目に付いて、思わず語気が荒くなる。

「おい」

「…？」

顔を上げたマリィの痣をそっと撫でた。

「あいつらに触られたとこ…」

「大丈夫」

俺の髪を撫でると、また繰り返す。

「大丈夫だって。それに」

マリィは抱きつく力を強めると、少し俯いた。
しかし、俺の背に回った腕は小刻みに震えてる。

「もう、消毒してもらったし！…ローに…」

震えてるくせに。
強がってんじゃねェよ…

「まだだ…」

「え？」

「まだ終わってねェ…」

消毒は終わってねェよ。
お前から、あいつらの余韻を拭いつくしてやる…

「んむ…っ」

噛み付くようにキスをすると、マリィは声をもらす。

「どこだ…」

「なに、が…」

「どこを触られた？」

マリィが息を呑んだ気がした。

マリィの腕に舌を這わせる。

「…ここか？」

頬にも同じように舌を這わせた。

「んん…っ」

「ここもか？」

優しく胸を揉み上げる。
すると、気持ち良さげに目を細めた。

「う…ん…」

こんな顔、あの男達にも見せたのか…？

「無防備すぎだ…」

「そんなこと…」

「あるだろ。そんな顔、あいつらの前でしたのか？」

俺は、手を動かすのを止めた。

「してない…っ」

マリィはバッと両手で顔を覆う。指の隙間から、みるみると顔が赤らんでいくのが見えた。

「…ローだから、だと思うよ」

…俺、だから？

「ローだから…触られて嬉しいし、気持ちいいんだよ…だから…」

マリィは俺の手を取り、自らの胸へと誘った。

「もっと、触って…」

ああ、もう、こいつは…

「頼むから、他の男に触られるんじゃねェ…」

ずっと、俺の傍で


俺だけの女でいてくれ…


こんなにも自分が独占欲の塊だったとは。

「うん…」

傷を癒して、癒されて。

支え合って、寄りかかって。

これからもそうして生きていければいい。
きっと、生きていけるだろう。

「今日みてェなことにならねェように、お前から離れねェ」

「それ、本気だったの？」

マリィは、小さく笑った。

俺達の初めての夜は、とても温かいものだった。