第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
「、、、あの、東堂くん、それは、、、一体?」
彼の言葉に心臓が高鳴って苦しい。
その続きに私は何を期待しているんだろう?
聞きたい、、、。
聞いてはいけない気がするのに、私は耐えられなくて。
思わず開いた口からは、思っていたよりも掠れた声が出た。
喉までカラカラになってしまっていたみたいだ。
取り繕うことも忘れて彼を見上げると、彼は参ったという風に頭を掻いて笑った。
「、、、はは、いや、ダメだな。俺としたことが、、すまない。これは優勝してからという約束だったな」
「あ、、、。そう、、、でしたね」
肩を掴んでいた手が緩められる。
「、、、はは、全く、、、」
「あはは、、、」
汗をかいていたのか、風が当たるとヒンヤリと心地よくて。
私達は困ったように笑った。
「、、、それまで、待っていてくれるか?」
「、、、はい」
風が吹いて、花が揺れる。
時間がゆっくりと動き出したような気がした。
「必ず優勝する」
「、、、はい」
目の前の景色は、夢を見ているように綺麗で。
「暫くここには来れないが、またここで、共に美しい花を見れる日を楽しみにしている」
「私も、、、楽しみにしています」
手の平のスズランがニコニコと笑うように風に揺れて。
「ずっとここで待っています」
誰もいないこの小さな裏庭で、
「うむ!」
力強く頷く彼の笑顔が眩しくて、
もう気付かない振りなんてできなかった。
私は東堂くんのことが好きみたい。