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恋の話をしよう【弱虫ペダル】短編集

第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎


「あのっ、そんなことよりも話の続きを、、、っ」


とにかく早く話を戻さなくては!


そう焦って向き直った途端、東堂くんが吹き出した。


「はっは!君はまたこんな所に」


「え、、、?」


彼の腕が伸びて私の髪に触れる。
ゆっくりと近付く距離に再び心臓が跳ねる。




「こんなものをつけて」





優しい手付きで取って、私に見せてくれたのは真っ白な、
風で飛ばされた小さなスズラン。



「す、、、すみません」



恥ずかしい。




あまり花に詳しくない私にも分かる分かりやすい形の花びらが、笑うようにコロコロと揺れた。




「はは、こういう時はありがとうと言うのだぞ?」



東堂くんの大きな瞳と目が合う。
彼はスズランの花を見つめて言った。


「、、、この花は、、、君にそっくりだ」


「え?」


「真っ白で純粋で、、、綺麗だ」


「、、、っ。そんな、東堂くんはまたそんな冗談を、、、」



必死で笑って首を振る。


綺麗?私が?うそうそ。


そうでもしないと本気にしてしまいそうだ。



「それに、俺をまた走れるようにしてくれた。」



「私は何も、、、っ」



必死に首を振る私を見て彼は苦笑する。



「そんなことはないのだが、、、。俺の言うことがそんなに信じられないのか?」



「ちがっ、、、そういうわけじゃ、、、っ!」



「よーし!わかった!それならば」



「へっ?」



ズイっと縮まった距離に跳ねた私の肩は、東堂くんの両手に優しく包み込まれる。



「改めて俺は証明してみせよう。俺が君のお陰で完全に復活したことを。そして、君に捧げよう。インターハイの優勝を」



「、、、あ、あのっ、その、、、」




言葉を挟む隙間なんて無かった。
まるで時間が止まってしまったかのように彼の大きな瞳に捉えられて、目を逸らすことなんてできなかった。




「俺が優勝したら、そしたら、、、今の続きを首を振らずに聞いてほしい」



肩に置かれた手が熱い。







「俺は笹原さんのことが、、、」






私の身体まで熱くなってしまうほどに。




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