第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
「、、、」
「、、、」
お互いに目を合わせず、言葉も発せられず暫く経った頃。
「ウッセーんだヨ!ブス!!」
「「!!」」
校門の方から聞き慣れた騒がしい声が聞こえてきた。
彼女とともにその声の方向を見て、
「だーから、アイツは先に帰ったっつってンだろーが!」
「そんなわけないでしょ?私たちずっとここで待ってたんだから!」
「そうよ!東堂様が戻ってきて気づかないわけないでしょ?」
「そんなの知らねーっつの!おおかたテメェらから逃げたかったんじゃねーのォ?な、福チャン!?」
「、、、。逃げたかどうかは知らんが、奴が先に帰ったことは本当だ」
「はぁ?東堂様が何で私たちから逃げるのよ!」
「そうよ!どうせアンタ達ブサイクが、東堂様だけチヤホヤされるのが悔しくって、東堂様を隠してるんじゃないの?」
「、、、む」
「だァーから、知らねェっつってんだヨ!バァーカ!!」
事態を飲み込んで、彼女を見ると。
目が合って。
「ぷっ」
「ははっ」
2人同時に笑みが零れた。
「あははは、ほら、東堂くんが可笑しなこと言って練習しないから、、、っ」
「ははは、そのようだなっ。柄ではないことは、するものではないらしい」
そう言っている間にも
「早く東堂様を出しなさいよ!ブス!」
「誰がブスだ!?このドブス!!」
「荒北、、、それではいつまで経っても、、、」
「アンタもさっきから顔が怖いのよ!!」
「な、、、何、だと?」
「テメェ!コラ!福チャンに噛み付いてんじゃねェっつーの!!」
向こうの戦いは白熱して。
「、、、ハァ。まったく。俺がいないと福と荒北に迷惑がかかるらしい」
「はい」
「、、、仕方がない。練習に戻るとするか。」
「そうしてください」
「そうだな」
「ふふっ」
口元に手を添えて笑う彼女はまるで風に揺れる花のようで。
この気持ちが何なのか俺にはわからない。
ただ今それを見て思うのは、
「、、、またここに来てもいいか?」
もっとこの子と話したい。
それだけで。
「、、、はい!もちろん!」
一瞬の間を置いて彼女が見せたとびきりの笑顔で、俺は意気揚々と校門へ向かうことができた。