第3章 秘密の花園【東堂尽八】✳︎リクエスト作品✳︎
「ホントに綺麗、、、」
自画自賛。
ではないけれど、大きくなりますように、綺麗に咲きますようにと、話しかけてきた花達が育っていくのが嬉しくて。
1人溜め息を吐いたその瞬間、
「そうだなっ」
突然後ろから声が聞こえた。
「へっ!?」
よく通るその声は何度も聞いたことがある。
でも、まさか、、、って、
「東堂くん、、、!?」
恐る恐る振り返ると、そこには少し前に校門から出て行ったはずの東堂くんが、顎に手を当てて立っていた。
な、なんで!?
っていうか独り言聞かれてた、、、!!?
「あ、あの、えと、どうしてここにいるんですか?」
パニックになる私を彼は不思議そうに見て、
「ん?俺がここにいてはまずかったか?」
と聞いた。
「あ、いえ!全然そういうわけじゃ、、、」
そ、そう、彼がいて悪いことなんてない。
だってここは学校なんだし。
「そうか。では少しだけ居させてくれないか?」
「は、はい!もちろん!」
どうしていいか分からずキョロキョロする私の横に、
「本当に綺麗だな」
彼はしゃがみ込んで、微笑んだ。
あれ、、、?
その笑顔はいつもより少し、、、
元気がない、、、?
そう感じたのも束の間。
「しかしここは綺麗に手入れされていてなかなかだなモノだな!笹原さんが手入れをしてやっているのか?」
そう彼が口を開いた。
その表情はいつもの東堂くんに戻っていて。
ホッとしたのだけれど。
「は、はいっ!、、、って、え?」
っていうか、今笹原さんて言った、、、?
私の名前、覚えてくれてたの?
まだ先生にも名前を考えられることもあるのに。
「ん?どうかしたか?」
呆けていると大きな瞳に覗き込まれる。
「あっ!いえ!えと、、、私の名前知って下さっていたんだなと、、、」
「当たり前だ!女子の名前は忘れん!」
「あ、、、そう、ですよね」
あ、そっか。
女子だから、か、、、。
って、どうしてちょっとショックを受けてるんだっ!