第1章 Summer #1
「えーっと…オレ、じゃないよね?」
知らない声がする。
バッと前を見ればそこには、
緑色の瞳をした金髪の男の子が立っていた。
『ごごご、ご、ごめんなさい、!』
「そんなに謝らなくても!?!」
金髪の彼は、「似合ってると思うよん!」と言って笑った。
……少し、ドキッとした。
「あ、いづみ着替え終わったのー?
えーっと……こちらは?」
友達が彼を見て言った。
「あ、オレ三好一成!いや〜、たまたま試着室の前を通りかかった時にこの子が出てきて、つい見とれちゃったんだよね〜。
ゴメンね、じゃあオレ行くね!」
『あ……』
「結構イケメンじゃない!?
あ〜、連絡先でも聞けばよかったのに〜もったいない!」
『そ、そうだね、…あ、この服…買おうかな。』
彼に、似合うと言われたから。
もう二度と会うこともないのに何してるんだか。
"三好一成"くん。
その日からずっと、「似合ってる」と言って笑った彼の顔が、頭の中を反芻していた。