第2章 Summer #2
夏休みに入った頃。
三好くんからちょこちょこLIMEが来るようになり、それが日課となっていた。
……数日前までは。
『連絡…ない……』
「ちょっとー?何干物みたいになってんの!
そんなに話したいなら自分から連絡すればいいじゃない!」
そんなに簡単なものじゃない。
今まで男の子はおろか、女の子にだって今隣にいる子にしかほとんどしたことがない。
…何を話せばいいかわからない。
そういえば私、三好くんのこと何も知らないんじゃ…
LIMEのアイコンは友達と撮った写真?かな。
「えーいまどろっこしい!
ちょっと貸して!!」
強引に引っ張られ、友達の手に私のスマホが渡る。
『ちょ…!』
【カズくん、元気にしてますか?♡
いづみはカズくんとお話ができなくて、
とっても寂しいです><
そっちも夏休みかな?
良かったら今週末会えないカナ|ョω・)ジィーッ
お返事待ってるね♡♡♡】
『はぁ……』
冷たい目で友達を見てから、本文を消す。
無駄な手間を増やしやがって……
当の本人は「いづみのキャラじゃなさすぎるwww」とケタケタ笑ってるし。
『あ』
「え?」
そこには、
【カズくん、】
と送信された画面が。
『えっ待ってカズくんなんて呼んだことない!』
急いで【ごめん間違えたの!】と送ろうとしたが時すでに遅し。
"イマドキ男子"は既読が早い。
カズナリミヨシ☆【カズくんだよ〜( ー̀∀ー́ )
どしたのー?カントクちゃん♪】
カントクちゃん、?
あだ名…かな。
【ごめん、友達がふざけて打った文章を消してたら一部送信されちゃって(汗)
気にしないでー;;】
カズナリミヨシ☆【全然だいじょぶ!
でもオレ、 いづみちゃんにカズくんって呼んでほしいかも!オレもカントクちゃんって呼ぶし♪ いい?】
今回だけはナイス、友達。
カズくん、カントクちゃん。
ふふ。
私今相当気持ち悪い顔してるかも…