第1章 Summer #1
「そろそろ夏休みだね〜。」
蒸し暑い日の学校帰り。そう言うのは私の友達。
基本ネガ思考の私とは違って元気で社交的な可愛い子。
『私も可愛くなりたいなぁ、』
「え、今いづみ、可愛くなりたいって言った!?」
嘘、声に出てた…?
『や、別に、言ったっていうか…』
「よっしゃ任せて!
私が絶対いづみをイマドキの乙女にしてあげる!」
『え、ちょっと……!?!』
.
「じゃっじゃーん!どうよー!私の行きつけのお店!
めちゃめちゃ可愛い服いっぱいでしょー!?」
連れて来られたのは本当に"イマドキ"なお店だった。
『いや…服は可愛いよ。
でも、私には似合わないんじゃないかな……?』
「何言ってんの!いづみは可愛いんだから!
もっと自信もって!
あ、これとか可愛くない!?」
忙しない。というか人の話聞いてんの?
とつい思ってしまう節がある。切に。
「これ絶対似合うから!着てみなよ!ほらほら〜」
半ば強引に試着室へと向かう。
『ど、どうかな……やっぱ似合わないよね、!』
カーテンを開けて、恥ずかしさからつい
目を瞑ったまま話してしまった。
綺麗な緑の瞳が、こちらを向いていることも知らずに。