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甘々生活一端集【YOI!!!/R18】

第1章  努力の垣間【勝生勇利】


ロッカールームでスケート靴を履き替えている彼の傍でこれからのことを考えてみた。


勇利はこれから大会を控えている。本番でメンタル面がとことん弱い彼なら、いざとなったら技術面は駄目でも演技面でカバー出来る。
でも、それもいつまで保つか…もうすぐ留学してまで頑張った大学も卒業する。その後はスケートを続けるも辞めるも彼次第だ。


(でも……続けるんだろうなぁ)


彼の今までのスケートへの取り組みを見れば一目瞭然、辞める事など有り得ないだろう。彼がスケートを本格的に始めるきっかけとなった憧れのロシア人選手と対等に渡り合える好機がまだまだある。


然し、このままだと将来有望な若い選手に先を越されるのも時間の問題かもしれない。それを思うと、彼のガラスのハートと豆腐メンタルをどうにかしなければならない。


「勇利…次に試合勝ったらさ、私からキスしてあげるよ。」


ふと思いついたことを何気なく彼に言ってみると、大きく肩を跳ねさせて固い表情の彼が私を見つめる。

勇利「な……何言ってるのっ!」

瞬時に赤くなった彼の頬を指でつつきながら、

「いやぁ、そうでもすれば勇利の豆腐メンタルがどうにかなると思って…嫌?」

勇利「いやっ……では無いよ、全然!でも、がそこまでするのって何でだろうって思って…」


彼の言いたいことは分かる。何故急にそんな事を言い出したのかと思われるのも仕方無い。けれど…


「誰より努力して頑張ってる勇利に、ご褒美とメンタル強化の為です。…ごめん、私にはそれしか出来ないから」


そう言って彼の体に寄りかかる。先程まで練習をしていた彼の体は良い具合に火照っていて温かい。
私には、それしか出来ない。彼の隣に並んで何かしてやれることも無い。
せめて、彼と同じ立場で同じ景色を見られたら……


勇利「…何でが謝るの。僕の為に考えてくれたんでしょ。…本当にの存在には毎回助けられてるんだよ。だから…今度も頑張るから、僕の事だけ見てて。」

そう言って私に顔を近付け、迷った挙句額に口付けが落とされた。
珍しい彼の行為に思い切り頬を緩ませながら心の隅で密かに願う。


どうか勇利の魅力に気付いて、最大限に引き出してくれる指導者が見つかりますように。

《Fin》
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