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真昼の月【龍が如く×真島吾朗】

第1章 真島という男




―――次の日。




「……」

ちょうど昼時。

1番店が込み合う時間に雅美はただよらぬ気配を感じ、店内の通りが見える窓ガラスを見つめた。

そこには窓ガラスに体全体をべったりくっつけ、雅美を凝視する真島の姿があった。

雅美が右に行けば真島の目が右に動き、左に行けば左に動く。

「ちょっと、どうにかしてよ……!知り合いなんでしょ!?」

その様子を見兼ねた店長が雅美に慌てて歩み寄り、
窓ガラスを指差して真島と雅美を交互に見ながら冷や汗をかき慌てふためいている。

店内の客も真島の目線の先にいる雅美を白い目で見つめる始末だ。

雅美は慌ててウエイトレス姿のまま店を出ると、
そのまま真島に駆け寄った。

「なっ…何してるんですかっ…!」

「強行手段や」

「はぁ!?」

真島は雅美の声に耳を貸しながらもガラスに張り付く事を止めようとしない。

「雅美ちゃんにいっつも振られてばかりで俺寂しくてしゃーないわ」

「フラれてって……」

「今日こそは約束取り付けるで?出ないと1日中張り付いとるわ」

まさしく駄々っ子のような感覚。

雅美は大きくため息をついて頭を抱えた。

私達を物珍しそうに見つめる、通りを歩く人々や店内の客からの視線がチクチクと痛い。

店長の焦る姿も嫌というほど目についてしまう。

ここは折れるしかないと観念した雅美はわかりましたと渋々呟いた。

「ホンマか!俺の執念勝ちや~!」

「――!」

真島は雅美の言葉を聞いた途端ガラスから素早く離れ、嬉しさのあまりその場の勢いで雅美をきつく抱きしめていた。

「ほんなら、仕事が終わったら飯行こうや!俺ミレニアムタワーの前で待っとるからな!約束やで!?」

真島は雅美の体を離し、すぐ近くにある雅美の顔を見つめながら満面の笑みで話す。

いきなり抱きしめられ、真島の顔が目の前にある状況に雅美は頬を赤らめ、目がテン状態で返す言葉すら失っている。

「んじゃまた夜に!ほなさいなら~」

真島は軽いステップで店から離れていくと雅美に向かって手を左右に激しく振り、
何事もなかったかのように人込みの中へ消えて行った。

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