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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第24章 不安定要素





中「親戚………は無理か。」

『その日に連れ戻されちゃうね。いっそ誰か拾ってくれないかなー。』

中「冗談に聞こえねェから止めろ。」

『え?本気だけど。』



分かってはいたが普通の人間に備わってる常識というか感覚が欠落している部分が或る。
そう云や従姉妹にもそんな奴が居たな……



中「あ!!」

『うん?』

中「一寸帰りが遅くなるが今から付き合えるか!?頼りになるかもしれねェ。」

『大丈夫だよ。その人の所に連れて行って?』



学校を出て電話越しに心当たりの人へ軽く事情を説明すると快く自宅へ招いてくれた。



紅「ほぅ、愛らしい子を連れて来たもんじゃな。中也も隅には置けぬ。」

中「〜〜〜ッ!ンな事はいいから如何にかなンないか!?」

『私からもお願いします。』



深々と頭を下げる彼女の頭を紅葉は優しく撫でる。



紅「これ、そんなに畏まるでない。………そうじゃな。私のことは歳の離れた姐とでも思ってくれ。」

『姐さん………?』

紅「嗚呼そうじゃ。」

『姐さん。私どうしても家を出たい。このままじゃ駄目になる。』

紅「ふむ。」



可愛い愛理の為ならば家に住まわせたいのは本心。
だが鏡花という愛娘を女手一つで育てている為資金繰りに気苦労するのも事実。



中「此の際女に興味がねェ男でも佳いんじゃねェか?」

紅「中也、男はみな狼なのだぞ。お主も分かっておろう。」

中「俺はむやみやたらに手ェ出したりしねェ。」

紅「世の中にはその様な男は少数派じゃと云う事じゃ。」



尚も平行線で話が進まないなか、愛理だけが口を閉ざし何やら考え込んでいた。



中「おい、如何した?」

『居るかも。』

中「何がだよ。」

『女っ気全く無くてお堅い理想主義の人。』

中「………はァ?どンな奴だよ。」

『小学生の頃に家庭教師雇ってたんだけどその人なら当てはまるかも。』

中「けど仮にも雇ってくれてた家の娘を援助すると思うか?」

『基本的に理想主義だから予定に無いことはしない。でも目の前で困ってる人を放っては置けない性格だから相談してみるだけ価値は或ると思う。』











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