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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第24章 不安定要素





『幸せ…?』

中「嗚呼、毎日そンな生気の無い顔で笑顔も見せずに過ごしていて幸せなのかって聞いてンだよ。」



机に片手をつきギラリとした眼で私を睨み付ける。
“幸せ”とは人によって定義が異なるものだと森さんが以前云っていた。



お金も職も無くとも幸せだと思う人もいれば、大富豪の社長であっても自分は不幸だと嘆く人もいる。
だけれど選択肢が多いに越したことはない。
今勉強や習い事をしているのはその為なんだよ、と私の心が折れてしまいそうな時に繰り返し云い聞かせてくれたのだ。



『今幸せかは分からないけど将来は選択し放題なんだから幸せになれるでしょ。』



途端に鋭い眼は光を失くす。



中「だからと云って幸せになれるとは限らねェ。」

『確率は高いけど。』

中「俺には今笑えねェ奴がそうなれるとは思えねェけどな。所詮は唯の人形だ。親が居なけりゃ何も出来ねェ。手前が一人になった時、手前はどうすンだろうな。」










云い捨てる様に去って行った彼の大きな背中は同い年とは思えないほど逞しかった。









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