第2章 貴方が一番 前編※
「……エレンを離せ。」
「……っ」
いつの間にか移動した兵長が、ジャンの首元に刃を突きつけていた。
ジャンが腕から力が抜け、俺は兵長に抱きついた。
「へいちょぉ……へいちょぉ……っ」
恐怖から解放された安堵か、涙がとめどなく溢れる。
「……お前、どうなるか分かってんのか」
兵長がジャンに向かって冷たく言い放った。
「…っ、分かってますよ……好きなようにすればいいじゃないですか……」
「ま、待って……、ジャンのことは、見逃してあげてくれませんか…っ!」
俺がそう言うと、二人がこちらを向いた。
「……エレン……何言って……」
「…確かに、ジャンは酷いことをしたかもしれない……けど、ジャンは……俺にとって、大事な戦友だから……。だから、今回のことは、見逃してあげてください……」
ジャンが驚いたような、悲しそうな表情をした。
「……お前……」
兵長は表情一つも変えずに黙り混んでいたが、やがて口を開いた。
「……分かった。今回のことは、水に流してやる。」
「……!!ありがとうございますっ!」
「だがエレン、それには条件がある。」
「…じょう、けん?」
兵長は俺の耳元に唇を寄せると、小さく囁いた。
「――――――――。」
「……っ、……分かりました…」
俺はただ、俯いて頷くしかなかった。
兵長は少し口角を吊り上げると、ジャンを見た。
「……ということだ。エレンに感謝するんだな。」
兵長は呆然とする俺を担ぎ上げ、立体機動装置を使い、空を飛び上がった。
とりあえず前編endです
前編は主にジャンエレでしたが、後編はリヴァエレでいきます