第4章 Loving you is Killing me.Ⅱ 前編
結局、俺たちはオフィスに戻ると、メガネのおばさんとロイズさんから
「今日はこれ仕上げるまで、帰らないでね」
なんて、どっさり書類を渡された。
黙々と仕事をこなす、ジュニア君。
「なぁ」
「………………」
「なぁってば!」
「貴方もご自分の分は、きっちりこなして下さい!」
「ほら、また、アナタ“も”って」
「………………」
「ま、いいや。とっとと仕上げて、飲みに行こうぜ~」
「………………」
カタカタカタ…………
静かなオフィスにキーボードを叩く音と、ペンの走る音が響いていた。
「ぅっしゃ!!!終わったーーーー」
「お疲れさまです」
そう言って、ジュニア君がコーヒーを渡してくれる。
「あれ?待っててくれたの?いなくなったから、先に帰ったのかと思ってたわ」
「貴方……頑張ってましたしね」
「まーな、やるときはやる男なんで」
「そうみたいですね」
「見直した?」
「まぁ……早くそれ飲んで下さい」
「なんで?」
俺は熱いコーヒーにフーフーと息をかけながら聞いてみた。
「飲みに行くんでしょう?」
「だったら、熱いコーヒーなんか淹れてくんなよっ!」
「あ、そうですね……」
なんか惚けた返事のジュニア君が可愛くて、思わず
「なんだ、可愛いとこあんじゃん。アンタも」
本音がポロリと出てしまった。