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君とならキスだけじゃ【TIGER&BUNNY】

第4章 Loving you is Killing me.Ⅱ 前編


「そう何度も殴られるわけねーだろ?なぁ、ジュニア君」

ジュニア君は顔を真っ赤にして、俺に右手首を握られている。

「気づくだろ。フツー。なんだよ、あの昼間のレストランでのあんたら」

俺がそう言うやいなや、握っていた右手を思いっきり振りほどいてきた。


「貴方には関係のない話だ」

「そっかー?そんな事もないんじゃない?」

俺がニヤリと笑ってやると

「戻ります」

そう言って、俺に背中を向けてトレーニングセンターを出て行くジュニア君。

「一緒に戻ろうぜ」

俺が肩に手をかけると、最近は振り払わなくなった腕を思いっきり、振り払ってくる。

「ついてこないで下さい!」

「なんで同じ方向なんだから、仕方ないじゃん?」

顔を覗きこんで言ってやると、ジュニア君の足がピタッと止まった。


「?」


前を見ると、千代紙だっけ?あの小さい女が立っていて

「お疲れ様です」

ニコッと微笑んでくる。


「おぉーお疲れさんっ!」

「あの、少しお時間……」

どうやらジュニア君に話しかけているみたいだな。


「急いでますので、すいません」

千代紙の前を足を止めずに、通り過ぎようとするジュニア君に


「いえ……あの、じゃあ……これだけ……」


そう言って、綺麗な紙で折った何かを渡した。



「足を止めさせて、ごめんなさい」


千代紙は静かにそう言うと、俺達の背中を見送った。



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