第16章 if...
バニーの葬儀は、市を挙げてのモンでさ……
そりゃもう、市民全員が泣いたんじゃねーか!?ってぐらい泣いてよ……
皆がヒーローも人間なんだって、思い知った瞬間だったんだ………
バニーが助けた子供の親なんてさ泣いて泣いて……土下座すんだよ……
俺さ、なんか……楓の結婚式ん時でもよ、バニーがあんま泣くから泣けなかったんだよな……
なのに、今度は周りの皆がすげー泣くからさ……
俺、もっと泣けなくなっちまってよ……
なんか俺の涙……
どこに行ったのか、わかんなくなっちまったんだ……でもよー
そんな事も言ってらんねーんだわ。
だってさ、俺にはジュニアがいるだろ?
ジュニアは、バニーが亡くなったあの日の不思議な行動がウソだったみたいに……
狂ったように、泣いて、泣いて、泣いてよ……
そりゃ、そうだよな。
あんなに大好きだった『ダッド』が急にいなくなんだもんな……
だからさ、泣くだけ泣けばいいって思ってたんだ。
けどよ……
あんまりにも泣くから、流石に俺も心配になって声をかけたんだ。
「ジュニア、もうあんま泣くな。バニーが安心して天国に行けねーだろ?な?」
気の利いた言葉なんてかけてやれなくってよ。
そしたらさ、ジュニアのヤツ……
「これはおとうさんの分の、なみだですっ!!!」
って言ってまた、ワーワー泣くんだ。
「お前、何言ってンだよ……」
俺がボソッと呟くと、
ジュニアが俺の手をとって、俺の胸にその手を押し当ててきてさ