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君とならキスだけじゃ【TIGER&BUNNY】

第16章 if...


俺のつまんねー理想論のせいで、バニーが……バニーが……


その事だけが頭の中を支配する。


俺のせいで……


ずっと震えている膝が……落ちそうになった時、


「おとうさんっ!!!ダッドがっ!!!」


ジュニアが走って俺のところに来た。



その時、手術中のライトが消えた。



「鏑木さん……中へ……」

看護師の一人に声をかけられた。



俺はジュニアと手を……しっかりと繋いで手術室に入って行った……


ピッ……ピッ……ピッ……と、心音を現す音が、弱々しく聞こえる……


バニーは、手術台の上で寝ている。


「ダッド!!!」

ジュニアが俺の手とバニーの手を重ねた。


温かい……

バニーは生きている。俺はバニーの手をギュッと握った。


「バニー?」


すると、寝ていたと思われたバニーの手が

ゆっくりと、バニーの胸のところまで動いた。



医師と看護師の、ハッと息を飲む音が聞こえた……



俺はいつもの言葉が聞けると思っていた。


『僕の心の中を見せたい。貴方の事で、いつも一杯で……愛で溢れているんです』



でもよ、バニーは……


薄く目を開けて……でも、俺の目をしっかりと見つめ……


まるで微笑みかけるように、優しく……でもすぐに……



目を細めて……






そのまま、目を閉じた











ピーーーーーー…………














バニーの声を聞くことは、2度となかった……







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