第16章 if...
「おい……さっきの続き……」
「……タイガーを呼ばなかったのは、今日、ジュニアを見てるって言ってたからなの……」
「は?」
「バーナビーが、ジュニアと二人、きっとヘトヘトになるまで遊んでるだろうから、って。もし、すぐに解決できなかった時は、呼んでくれって……」
「で……能力発動して……回復する前に……」
「この事故が起こってしまって……」
「そんなっ!!!」
「バーナビーね……子供を見ると……いつも言っていたのよ……『子供は宝』だって……」
「……」
「それを教えてくれた、タイガーと楓ちゃんには、感謝してもしきれないって……だからいつも、近くに子供がいるとジュニアの事を思い出しては、優しく接していたのよ」
確かに……それは知っている……でも、だけど……
能力が発動できない事が解っていて飛び出したのは……
「俺のせいだ……」
「タイガー……?」
「俺のせいでバニーは……」
「何、言ってるの!?違っ……」
ドンッ!!!
気づけば俺はやり場のない怒りを込めて……病院の壁を叩いていた。
アニエスが、びっくりした顔をして見ている……
「俺のせいだ……俺がいつも、ヒーローはどんな時も市民を助けるのが仕事だ、なんて……理想論ほざいてたから……アイツは……バニーは、俺のせいで……」
膝が
震えていた。