第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
「足場が悪いな……」
僕が呟いた時、スカイハイさんが来て
「君はこちらに」
そう言って千代紙さんを抱え、空を飛んで行く。
「俺もあっちの方が……」
上空をチラリと見て呟く虎徹さん。
「ダメです。離しませんよ」
僕はもう一度ぐっと抱え直すと、足場の悪い瓦礫の山を、ピョンピョンと跳ねて、皆が待つ所まで戻った。
虎徹さんは、腕もかなり痺れているみたいで、僕を抱き返すことはなかった。
けれど、僕の腕の中でじっとしていてくれた。
僕達が戻ると、2部のヒーロー達が寄ってきた。
「タイガーさんっ!!!」
「あー悪ィ、大丈夫だから。ちょっと重みで身体が痺れてるだけだからサ」
なんて笑いながら返事をしている。
「念のため病院へ、貴女も」
振り返って千代紙さんにも、病院へ行くよう促すとそこには
「大丈夫でござるか?」
「は、はいっ!!!!!」
何故か顔を真っ赤にして、折紙先輩と話す千代紙さんがいた。
「千代紙さんも、行きますよ病院」
「は、はいっ……」
あれ?手と足が同時に出て……うわっ……
ギクシャクした歩き方の千代紙さんは、躓いて転びそうになったところをパッと折紙先輩が支える。
「やはり拙者が」
折紙先輩も千代紙さんを、お姫様抱っこした。