第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
現場近くまで来た時、ライアンがダブルチェイサーを横付けしてきた。
「乗れよ」
「…………」
息が上がって返事が出来なかったが、飛び乗った。
いつも“彼”が座っていた方に。
「斉藤さんもトランスポーターですぐ来てくれる」
ヒーロースーツに着替えるように、促されている。
解っている。
でも、今は着替えているその時間ですら惜しいんだ。
現場に着くと、僕は2部ヒーローが立ちすくんでいるのを見つけ、駆け寄った。
「どういった状況ですか?」
目の前には、スタジアムぐらいの広さの瓦礫の山がある……
いくら廃墟だとしても、あまりにも無謀な広さだ。
「バーナビーさんっ!?スーツは!?」
スモウサンダーが声を上げる。
「そんなことより、虎徹さんは!?」
チョップマンが
「この瓦礫の何処かに、タイガーさんと千代紙が……たぶん、一般の方は巻き込まれていないと……」
「犯人は?」
少しゆったりとした足取りで、ライアンがやってきた。
「先程、ブルーローズさんとドラゴンキッドさんが来て、追いかけています」
ライアンは2部のヒーローに状況を聞いている。