第3章 個別の時間
(学峯サイド)
入学式が行われるより数日前から、生徒全員の顔と名前、部活動の経緯や、学力を把握するのがいつものことだ。
今年は私の1人息子も入学する。
生徒1人ずつの入学願書を見る。
そこである1人の生徒の願書に目がとまる。
桃色まぁ…。
何故だか手が止まった。
写真に映る容姿は、まだ幼さが残り、可愛げのある雰囲気。成績は優秀だが、これといって部活動をしていたわけでもない。
だが、一瞬引き寄せられた何かがあった。
入学式当日、壇上の上から彼女を見つける。
緊張した様子で私の話を聞いている。
フッ…。可愛いらしい。
それから一年生の廊下を歩く際は、彼女を無意識に目で追っていた。
A組の担任が産休に入ると聞き、私は新しい教師を補填するのではなく、自分がA組の担任になることを決めた。
理由はただ1つ。
桃色まぁ、無償にこの生徒を支配したい。
その気持ちがあったからだ。
本人は無自覚ではあるが、彼女は、異性からの人気も高く、告白などもされているようだ。
校内にはくまなく防犯目的のためカメラが設置されている。
これは唯一、私だけが確認できる。
彼女が今、どこで何をしているのか、ある程度は手に取るように分かる。