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台風のちに快晴、そして虹 【気象系BL】

第26章 Rush around




数人の足音と
アルコールの匂いがして

「ありがとうございました〜♪」

ついさっき聞いた明るい声に振り返ると
くしゃっとした笑顔の雅紀と視線が合う

ぺこり、と小さく頭を下げて

「あの…今、いいですか…?」

スマホが当たっていない方の耳に
はっきりと届いた声

扉から上半身だけ出していた体が
ゆっくりと俺の方に近づいてきて

「もういける?じゃ、またな」

部下との通話を終わらせて
体を店の方に向けると

さっきまでの明るい雰囲気とは違う
真剣で重々しい瞳が俺を真っ直ぐ見つめて
数十センチ前でぴたりと立ち止まる

…な、なに言われるんだろう…

俺の潤を返せーとか…
い、言われんのかな……

いやいや!
潤はそんなんじゃねぇって言ってたし…

いや、でも…
あいつはそう思ってなかっただけで
この人はそうじゃないかもしれねーし…

「潤のこと…怒ったりしないで下さい!!」

狼狽える俺の目の前で
綺麗なほどのお辞儀

「え、えっ?なにっ?あ、頭上げてっ?」

慌てる俺のすぐ横を
通り過ぎて行く人達の目線が
突き刺さる中、直角に曲がった腰は
一切動かなくて

「本当に!頭上げてっ?」



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