第26章 Rush around
「…あ」
「???(’◇’*)」
「ぁあぁぁあ〜っっ!!」
現れた店員さんが首を傾げたのと
ほぼ同時くらいに
店内全域に響くほどの俺の声が響いた
ぷるぷる震える指先にいる男…
雅紀ってここの店員さんだったのか!
「なになに?どしたの?翔くん」
雅紀と俺の顔を交互に見たかずが
尋ねてくる
どうしたって…なんて言えばいいんだ?
この場合……
どう答えるか考えあぐねていると
傾げてた首がまっすぐになって
「ふふ、秘密です♪」
完璧な営業スマイルで
かずの二の矢の追及もさらりと交わして
オーダーを取っていった雅紀は
姿を消していった
ホッと胸をなでおろしたのもつかの間
交わされてスカされた矢が
俺に向かってくる
「ね?なんなの?
あの人となんかあったの?翔くん?」
「あ、あった、ってゆーか…」
「あったのは潤の方だろぉ…」
モツ煮をひと口、口に運んだ智くんが
味を堪能しながらのほん、と話す
「潤はヤリチンだからな…
かずちゃん、気をつけるんだよ?」
「え、え?じゃあさっきの…」
「潤のヤリチン被害者83号、だな」
「おまっ!智!俺そンなにセフレいねぇわ!」
「そんぐらい、いてそうじゃん?」
焦りながら弁明する潤を横目でチラッと
軽く睨みつける
…やっぱ俺、早まったかもしんねぇ……