第26章 Rush around
「…………へ?」
伝えるだけで満足した俺は
訳もわからず間抜けな声が出て
距離を作って潤を見つめる
「だから、翔が好きだって…」
「え、え??お前今付き合ってるやつ…」
「…居ないよ?」
「さ、さっきのやつ、は…?」
「…雅紀?あいつは…
そんなんじゃねーよ…」
あの人雅紀、って言うのか…
どこで見たんだろうな…
…知ってるのに、
………思い出せない
「まぁ、それは別にいーじゃん…?」
柔らかく真っ直ぐ俺を見つめてた
瞳が微かに揺れて
顎のホクロを弄りだす
あ、それ後ろめたい時にするやつ……
「……ただの友達じゃねーんだ…?」
「…それは、うん、まぁ…」
ホクロを弄る手は止まらないまま
「お前なっ!あれほど節度持てって…!」
「いいじゃん、別に…っ…
もともとは、翔が…っ………」
ソファの上で押し問答を繰り返してた
潤が口籠もる
「俺が、何…?」
「お前が…ノーマルだったから、
俺、ずっと…っ……」
一瞬伏せた瞳が開くとチラリと俺を見つめて
「ずっと、我慢してたんだ…
お前との友情、ぶち壊したくなくてっ…
だから…それくらい、許せよ……っ」
左斜めに移っていく視線
それは真実を話してる時の…癖……