第15章 shine of the palm
なんせ今の愛聖は立派に子供の頃からの夢を叶えて、ひとりの女優として仕事もしてる。
少し前なんて、大和くんとの共演でちょっとオトナのシーンをこなしたり。
あとは遊女役として、まぁ・・・その、なんだ・・・
ギリギリラインまで柔肌を露出してたり、とか。
若い女の子が無闇に肌を晒すなんて・・・とか思っちゃう程、俺も大人に・・・って?!
その考え方じゃ、まるで俺が父親役みたいじゃないか?!
さすがにそこまで年取ってはないと思いたいけど。
それにそんな役回りなら俺、愛聖が結婚するなんて日が来たら、号泣モノだよ。
ランドセル姿だった愛聖が、いつか誰かを選ぶ日が来るなんて考えたくはないけど。
どんなヤツを・・・選ぶんだろうな・・・
目を閉じて、ぼんやりと浮かぶその時を思い浮かべてみる。
純白のドレスを纏った愛聖を連れて、ヴァージンロードを静々と進む。
その先には、愛聖が選んだ相手が待っていて。
俺たちが近付くのをゆっくりと振り返って、花嫁の美しさに花婿が微笑みながら言うんだ。
「万・・・愛聖は今日から、僕が守るから」
そう、千が目を細めながら俺に・・・・・・・・・・・・ストーップ!
なんでそこで千なんだ?!
「ダ、ダメダメ!絶対ダメだ!愛聖、ちょっといろいろ考え直せ?!アイツは素直じゃないし、意地悪やイタズラばっかりしてたし、それに天邪鬼だぞ?!」
『ちょっと万理、なに?!どうしたの?!』
ガクガクと肩を揺すりながら叫ぶ俺に、愛聖が慌てた様子で腕に手を置いた。
「だから!結婚する相手はよく考えてって!」
『は?!結婚?!相手もいないのに急になんの話?!』
「あっ・・・」
しまった・・・俺の妄想が口から飛び出しちゃった・・・
咄嗟に片手で顔を覆う俺を、周りのみんなが怪しげに笑いながら見続ける。
大「万理さんは・・・豊かな妄想力をお持ちのようで?」
ナ「マリーが結婚・・・当然ながら相手は、ワタシですね・・・」
三「んなワケねぇだろ!」
ナ「Why?!」
いつも通りのナギくんと三月くんのやり取りに大爆笑が起きる。
そんな中で、俺はなんでそんな結末に行き着いてしまったのかと、苦笑を浮かべずにはいられなかった。