第15章 shine of the palm
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
『万理』
おっと??
「「 早すぎだろっ?! 」」
大和くんの次が俺だって聞いて、ひと息ついた愛聖の前に立てば、1分も待たずに俺の名前が呼ばれてしまう。
三「いや、さすがにそんな即答なワケねぇよな?!」
ナ「マリー・・・ワタシとバンリを間違うとは、悲しいデス」
瞬速でバレちゃった俺を気遣ってるのか、三月くんやナギくんが間に入ろうと息巻いてはいるけど・・・
『ダメですよ、ナギさん。そんな事を言って惑わそうとしても、絶対に万理だから』
ここまで言い切られると、逆にその理由が知りたいって思うのは、俺だけじゃないよね?
小「いやぁ、残念だな・・・正解は僕だったりして?」
『社長は香りで分かります』
小「ですよね・・・」
張り切った社長まで撃墜される始末で、俺はもちろんだけど、ギャラリーまでが諦めの空気を纏う。
「参ったね。こんなにも早くバレるとは予想もしてなかったよ」
ポンっと愛聖の頭に手を乗せながら言えば、擽ったそうに肩を竦めて笑った。
『万理はさ、私が子供の頃から1番近くにいてくれた時間がたくさんあるから。ある意味、特別なのかも?』
特別って言われたら、悪い気はしないのは本音だけど。
『父さんの記憶なんて殆どないし。だから、父さん以外の異性って考えると、万理や千や百ちゃんがいるけど・・・その中でも万理は、その中で誰より先にそばにいてくれたから』
「・・・そうだね」
俺が最初に愛聖に寄り添ったのは、家の鍵を忘れて中に入れずにいた、あの日。
寒空の中で玄関先で膝を抱えてる愛聖に声を掛けると、警戒してたのか全然話してもくれなくて困ったっけ。
数日後に寝込んでた俺の手を握ったまま、そばで寝落ちてる愛聖を見た時は驚いたけど。
それがきっかけで、打ち解けるまでに時間は掛からなかった。
もっとも、愛聖の母さんにも信用して貰えてたからってのもあるけどね。
それから少しして、そこに千も入って来て。
なんだかんだと千と愛聖がじゃれて仲良くしてるのを見れば、なんかモヤモヤした事もあったなぁ。
俺の方が先に仲良くなったのに、なんて思ったりもして。
きっと俺も考え方とか、まだまだ子供だったんだろうと今は思うけど。