第15章 shine of the palm
『さっき私をギュッとした時に、あ、二階堂さんだなって確信したんです。気付いてないと思いますが、二階堂さんってちょっとしたクセ・・・というか、抱きしめ方に特徴があるんですよ?』
「そうなのか?」
別にオレ自身はそんなの分かんないけどなぁ。
『多分、女性に対してだけかな?とも思いますけど』
「そんじゃ、試しにマネージャーを抱きしめてみるか」
そう言ってマネージャーのいる方に体を向けてみる。
紡「えっ?!」
小「ぅ、ウォッホン!!」
・・・。
はいはい、やっぱりそう来るか。
予想通りの社長の反応に笑いながら、因みにオレの特徴ってどんなだ?と愛聖に聞いてみる。
『う~ん・・・なんて表現したらいいのか分からないけど、千や百ちゃんとは違うんです』
「いやいや、あの2人は特殊だろって」
『でも、二階堂さんだってすぐ分かる感覚ですよ?他の誰とも違う、二階堂さんだけの特徴です』
オレだけの、ねぇ・・・
なんか言われれば言われるほど、恥ずかしくなって来たな。
ナ「ヤマト・・・みんなの知らない所で、ワタシのマリーにセクハラですか?」
「セ・・・違う!あー、アレだアレ!撮影でそういうシーン多かったからだ!な!そうだよな?!」
真顔で迫り来るナギに、まるで言い訳をするように言って、同意を求めるように愛聖にも言う。
『どうしようかなぁ・・・二階堂さんがそう言うなら、そういう事にしておきましょうか?』
「あのなぁ・・・」
乾いた笑いを見せながら言って、愛聖の耳にそっと顔を寄せる。
「もっと特徴が分かるほど抱かれたいなら、今夜・・・ドアの鍵開けて待ってるけど?」
『なっ、なに言ってるんですか?!』
バッと体を引いて慌てる愛聖に、今度は思いっきり笑う。
環「ヤマさん、マリーになんて言ったの?」
「そりゃあオレたちの秘密ってヤツだ。な、愛聖?」
からかうように笑いながら言えば、愛聖は愛聖でブンブンと頭を振る。
お兄さんをやり込めようだなんて、まだまだ早いっての。
コイツめ、と思いを込めて柔らかな頬をつついてやる。
その後の反応に、オレはまた口元を緩ませた。