第15章 shine of the palm
まぁ、お兄さん的には、そんな事故なら幾らでも待機しちゃうけど?
なんて、オレは事故キスどころか、仕事でガッツリ愛聖とそんなシーン山ほど撮影したけどね。
ああいうのってホント・・・苦手だわ。
顔見知りどころか生活空間まで同じなんだから、やりにくかったよな。
リテイクすればする程、妙な緊張感が出ちゃうし。
そこんとこ愛聖は、さすが女優魂っつうか。
カチンコ鳴ってスイッチが入れば、オレが同じ寮で生活してる人間だとは感じさせない演技力だよ。
何度か油断して、飲まれそうになったし。
そうかと思えば、オッケーかかって魔法が解ければ・・・やたら照れまくって毛布に包まってみたり。
恥ずかしいから見るなって言われても・・・見ちゃうだろ?!
一応、お兄さんも男の子なんだし?
男の子・・・う~ん・・・リクを使ってズルもしたし、雑誌の踏み台もあるから、このはちょーっとだけ、ヒントをやるか?
ヒントって言っても踏み台使った身長差もあるから、そうそうスグには答えに繋がらないと思うけどね。
ゆっくり、そっとバレないように愛聖の体に腕を伸ばして・・・胸元に引き寄せる。
『えっ・・・?!』
ポスンと小さな衝突の後に、そのまま流れで抱き締めてみる。
『・・・・・・あっ・・・』
この反応・・・また悩み出したか?
なんて、心の中でクスリと笑えば。
『二階堂さんですね!』
なんで?!
どうしてその答えなのかを聞けよとミツに目だけで訴えれば、ミツはそれを理解したのか愛聖に問い掛けた。
『もしかして・・・とか位は思ってたんですけど、今のでハッキリ分かりました。絶対、二階堂さんです。だって私を抱く時の二階堂さんはいつもこんな感じだし。撮影の時も何度も同じようにしてたから』
「抱く時って・・・さすがに言い方な、言い方!」
『あ!やっぱり二階堂さんなんですね?』
「あ、やべ・・・」
咄嗟に口を押さえても、つい愛聖にツッコミを入れてしまって答えがバレてしまう。
環「ヤマさん、アウト」
「うっさいわ!・・・ん?いま、やっぱりって言ったよな?」
やっぱりって言うからには、その前にオレだって分かってたっていう事になるよな?
『最初はボンヤリとしか思わなかったんです。けど・・・』
「けど?」